児童発達支援・放課後等デイサービスで育む「覚える力」| 見て・聞いて・考えて行動につなげる支援

はじめに:どうして覚えることが難しいの?
お子さまの中には、見たものを頭の中で思い出したり、形や位置を覚えたりするのが難しい場合があります。 たとえば、見本を見ながら作業しても次の手順がわからなくなったり、文字の形や配置を覚えにくかったりすることがあります。
こうした姿の背景には、「視覚的な情報を整理する力」や「見たものを心の中でイメージとして残す力」が関係しています。 これは学習だけでなく、生活の中での着替えや片づけなどにも影響する部分です。
療育での支援の工夫
イラストや写真を使って手順を視覚的に示し、見通しを持って行動できるようにします。
パズルや絵合わせ、並べ替えなど「見て考える」活動を取り入れ、視覚情報を整理する練習を行います。
必要な部分を色で囲ったり、線で区切ったりして、注意すべきポイントを分かりやすくします。
「ここまでできたね」「次はここ」と声をかけ、見た情報と行動を結びつけます。
ご家庭でできる工夫
朝の支度などを「絵カード」や「写真」で見えるようにする。
一緒にお料理をして「次はにんじんを入れてみよう」と、順番を目で確認する体験を取り入れる。
絵本を読むときに「次はどうなると思う?」と、見た情報を思い出す練習をする。

目次
1.はじめに:どうして覚えることが難しいの?
2.見て覚える力(視覚的な記憶)
3.聞いて覚える力(聴覚的な記憶)
4.覚えたことを行動につなげる力(ワーキングメモリ)
5.ご家庭と一緒に育てる工夫
6.ワンポイントアドバイス(保護者さまへ)
第1章 見て覚える力(視覚的な記憶)
お子さまの中には、見たものを頭の中で思い出したり、形や位置を覚えたりするのが難しい場合があります。 たとえば、見本を見ながら作業しても次の手順がわからなくなったり、文字の形や配置を覚えにくかったりすることがあります。
こうした姿の背景には、「視覚的な情報を整理する力」や「見たものを心の中でイメージとして残す力」が関係しています。 これは学習だけでなく、生活の中での着替えや片づけなどにも影響する部分です。
療育での支援の工夫
イラストや写真を使って手順を視覚的に示し、見通しを持って行動できるようにします。
パズルや絵合わせ、並べ替えなど「見て考える」活動を取り入れ、視覚情報を整理する練習を行います。
必要な部分を色で囲ったり、線で区切ったりして、注意すべきポイントを分かりやすくします。
「ここまでできたね」「次はここ」と声をかけ、見た情報と行動を結びつけます。
ご家庭でできる工夫
朝の支度などを「絵カード」や「写真」で見えるようにする。
一緒にお料理をして「次はにんじんを入れてみよう」と、順番を目で確認する体験を取り入れる。
絵本を読むときに「次はどうなると思う?」と、見た情報を思い出す練習をす る。
第2章 聞いて覚える力(聴覚的な記憶)
話を聞いても、内容を順番に思い出すことや、聞いた通りに動くことが難しい場合があります。 たとえば、指示を聞いても途中で手順が分からなくなったり、説明の中で大事な部分を聞き逃してしまうこともあります。
これは、「耳で聞いた情報をまとめて覚える力」や「ことばの流れを整理して理解する力」が関係しています。 言語の発達や、先生の話を理解して行動に移す力にもつながります。
療育での支援の工夫
指示は短く、ゆっくりと伝え、「○○したら△△しようね」と順序を明確にします。
歌やリズムに合わせてことばを覚えるなど、楽しい活動を通して聴覚的な記憶を育てます。
聞いた内容を絵や動作で確認し、「聞いて理解する→動く」流れをサポートします。
「今の話で何が印象に残った?」など、聞いたことを振り返る時間を設けます。
ご家庭でできる工夫
短いお願いごとから始めて、「終わったらこれをしようね」と順序を一緒に確認。
歌や手遊びを通して、耳から覚える楽しさを増やす。
「お買い物ごっこ」で、頼んだ品を思い出す遊びを取り入れる。
第3章 覚えたことを行動につなげる力(ワーキングメモリ)
話を聞いたあとに次に何をすればよいか迷ってしまったり、作業の途中で手が止まってしまうことがあります。 これは、「聞いたこと」「見たこと」を一時 的に覚えて使う力――ワーキングメモリが関係しています。 この力は、考えながら動くための大切な土台であり、ことばの理解や学習にも関わります。
療育での支援の工夫
見える支援:写真やカードを使って「今」と「次」を分けて伝え、流れを把握できるようにします。
体験を通して覚える:色や形の順番を覚えて並べたり、動きのリズムに合わせて行動したりする活動を取り入れます。
段階的にステップアップ:最初は短い手順から始め、少しずつ項目を増やして達成感を重ねます。
努力の過程を認める:「思い出そうとしていたね」と、結果よりも取り組みを肯定的に伝えます。
ご家庭でできる工夫
朝の支度で「まず靴下」「次はズボン」と一緒に順番を確認する。
「りんごと牛乳をお願いね」と、短い記憶のやりとりを楽しむ。
「手をたたく→回る→しゃがむ」などの順番あそびで“覚えて動く”経験を積む。
宿題では「今やること」「次にすること」をカードやメモで見て確認する。
第4章 ご家庭と一緒に育てる工夫
児童発達支援・放課後等デイサービスでは、 施設での経験がご家庭の生活でも続けられるよう、職員が日々の様子を共有し、 ご家庭に合わせた工夫を一緒に考えています。
「おうちでできたこと」「苦手な場面」をお聞きしながら、 家庭・療育・学校をつなぐサポートを進めています。 家庭と施設が同じ方向を向くことで、 お子さまがどの場面でも安心して力を発揮しやすくなります。

覚える力は、「集中」「理解」「思考」と深くつながる基盤です。
一度に多くを求めるのではなく、「できたこと」「思い出そうとしていたこと」を丁寧に積み重ねていくことが、将来の学習や生活の中で“自分で考えて動く力”につながっていきます。
お子さまの頑張りを一緒に見つけ、少しずつ支え合いながら進んでいきましょう。







