「ジュース飲む?」と聞くと「ジュース飲む?」とそのまま返ってくる。子どもが言葉や質問をそっくり繰り返すことが気になっている保護者の方は少なくありません。これは「エコラリア(オウム返し)」と呼ばれるもので、じつはことばを育てていく途中の、大切なプロセスでもあります。ここでは、その意味とおうちでできる関わり方をやさしくお伝えします。
オウム返し(エコラリア)とは?
エコラリアとは、聞いた言葉をそのまま繰り返すことをいいます。大きく分けて二つのタイプがあります。
- 即時性エコラリア:聞いた直後にそのまま繰り返す(「お名前は?」→「お名前は?」)。
- 遅延性エコラリア:時間をおいてから、覚えた言葉やフレーズを再現する(テレビのセリフやCMをふとした場面で口にする)。
どちらも、多くの子どもがことばを身につけていく過程で見られるものです。
なぜオウム返しが起きるの?
オウム返しには、その子なりの理由があることが多いと考えられています。
- 言葉の意味づけや理解が、まさに育っている途中だから。
- 聞き慣れた言葉を口にすることで、安心したり気持ちを落ち着けたりしているから。
- うまく言葉が出てこないときに、やりとりを続けるための手段として使っていることもあるから。
つまり、本人なりに一生懸命コミュニケーションを取ろうとしているサインであることも少なくありません。
「悪いこと」ではない理由
まねをすること(模倣)は、ことばを獲得していくための大切な土台です。オウム返しも、耳にした言葉を取り込んで自分のものにしていく一歩と考えることができます。「やめさせなければ」とあわてる必要はありません。まずは、やりとりができていること自体を受けとめてあげることが出発点になります。

家庭でできるやさしい関わり方
特別な訓練よりも、毎日のやりとりのなかで少しずつ関わっていくことが力になります。
- 否定せず、言い直させない。「違うでしょ」と訂正する代わりに、落ち着いて受けとめます。
- 短く正しいモデルを示す。「ジュース?」と返ってきたら「ジュース、ほしいね」と、自然な形でそっと返します。
- 気持ちを言葉にして代弁する。「うれしいね」「いやだったね」と、本人の気持ちをことばに置きかえます。
- やりとり遊びを楽しむ。順番にまねっこする遊びなど、言葉のキャッチボールを無理なく重ねます。
- 好きな場面で意味と結びつける。本人が興味を持っているものを使い、言葉と意味をつなげていきます。
※ 大切なのは「正しく言わせること」ではなく、「伝わってうれしい」という経験を積み重ねることです。あせらず、その子のペースに合わせていきましょう。
やりがちだけれど逆効果になること
良かれと思っての関わりが、かえって本人の意欲をしぼませてしまうこともあります。次のような対応はできるだけ避けたいところです。
- 繰り返しを叱る。
- 無理に何度も言い直させる。
- オウム返しそのものを「やめさせよう」とする。
言葉を出すこと自体が怖くなってしまうと、やりとりへの意欲まで下がってしまうことがあります。
気になるときの相談先
「このままで大丈夫かな」と気になるときは、ひとりで抱え込まず、専門の窓口に相談してみてください。
- 自治体の言語相談・発達相談の窓口。
- ことばの専門家である言語聴覚士(ST)。
- 児童発達支援など、日々の関わりを一緒に考えてくれる場所。
早い段階で相談することは、特別なことではありません。安心して過ごすための選択肢のひとつです。
保護者さまへ
お子さんのことばの様子を日々気にかけ、こうして情報を探しておられること、それ自体がすでに大きな支えになっています。オウム返しは、ことばを育てていく途中の自然な姿であることも多いものです。どうかご自身を責めず、小さなやりとりの積み重ねを一緒に楽しんでいってください。
本記事は一般的な情報をまとめたものです。ことばの育ちや必要な支援は一人ひとり異なります。気になる場合は専門機関・自治体の窓口にご相談ください。