こども家庭庁が推進する「ペアレント・トレーニング」とは|家庭での関わり方を学ぶプログラムの最新動向

「ペアレント・トレーニング」(通称:ペアトレ)は、発達障害やその傾向のあるお子さんを持つ保護者が、家庭での効果的な関わり方を体系的に学ぶプログラムです。1970年代の米国で発祥し、行動療法(行動の前後関係に注目して関わり方を組み立てる心理学的アプローチ)をベースにしています。日本では2020年代に入り、厚生労働省、そしてその後継となるこども家庭庁が普及推進事業を進め、各自治体での開催が広がってきました。

「叱ってばかりで疲れてしまう」「褒めるところが見つけにくい」と感じる保護者にとって、ペアトレは関わり方の引き出しを増やしてくれる頼もしい学びの場です。

ペアレント・トレーニングの基本

ペアトレの中心にあるのは、お子さんを変えるのではなく「保護者の関わり方」を整えることで、家庭での困りごとを少しずつ減らしていくという発想です。多くのプログラムは全6〜10回程度の連続講座として設計されており、グループで宿題(ホームワーク)を持ち寄って振り返る形式が一般的です。

① 子どもの行動を「分類」して観察する

最初のステップは、お子さんの行動を「望ましい行動」「気になる行動」「危険な・許しがたい行動」の3つに分類して観察することです。観察にはABC分析(Antecedent=きっかけ/Behavior=行動/Consequence=結果、の3点で行動を整理する手法)を使い、「いつ」「どんな場面で」その行動が起きやすいかを把握します。漠然と「困った子」と感じていた行動が整理されると、対応の優先順位が見えてきます。

② 望ましい行動を増やす褒め方を学ぶ

次に、望ましい行動を「増やす」ための承認スキルを学びます。具体的には、行動の直後に短く具体的に褒めること、結果ではなく取り組みのプロセスを認めること、ジェスチャーやスキンシップなど言葉以外のサインも併用することなどがポイントです。「えらいね」より「自分から靴を揃えてくれて助かったよ」のように、何が良かったのかを言葉にする練習を重ねます。

③ 気になる行動への対応スキル

気になる行動には「計画的に注目を外す(無視するスキル)」「環境を調整して起きにくくする」「指示の出し方を工夫する」といった対応を学びます。叱責を増やすのではなく、注目を引きにくくしたり、刺激の量を減らしたりすることで、結果として行動が落ち着いていくことを目指します。なお、より短期間で要点だけを学ぶ簡略版として「ペアレント・プログラム(ペアプロ)」もあり、地域によってはこちらから入門するルートも整備されています。

各自治体での参加方法

参加方法は地域によって幅がありますが、代表的なルートは次の3つです。1つ目は、市区町村の保健センターや発達支援センター、子ども家庭センターが主催するグループ講座。多くは無料または低額で受講でき、定員制のため早めの問い合わせが安心です。2つ目は、児童発達支援事業所・放課後等デイサービスが付帯サービスとして開催するペアトレ。普段お子さんを見ているスタッフが進行するため、家庭と事業所の関わり方を揃えやすいというメリットがあります。3つ目は、民間が提供するオンライン講座や書籍・ワークブックを使った自学です。仕事や下のお子さんの育児で通学が難しい場合の選択肢になります。

開催情報は、お住まいの市区町村の福祉課窓口、保健センター、または通所中の事業所に直接尋ねるのが確実です。

参加する前に知っておきたいこと

ペアトレで最も大切にしたいのは「親が完璧を目指さない」ことです。学んだスキルは一度で身につくものではなく、家庭で試して、うまくいかない日もあって、また次回持ち寄って…という反復のなかで少しずつ手に馴染んでいきます。

また、グループ形式で行われることには大きな意味があります。同じ悩みを抱える保護者同士で「うちもそうです」と笑い合える時間そのものが、孤立感をやわらげ、継続のエネルギーになります。修了後も自主的なフォローアップ会を続けるグループも少なくありません。「学びに行く」というよりは「仲間に会いに行く」くらいの気持ちで、肩の力を抜いて参加してみてください。

ブロッサム発達パークの見解

ペアトレは、お子さんと過ごす一番長い時間である「家庭での関わり」に直接効いてくる学びです。事業所での療育とご家庭での関わりが揃ったとき、お子さんは一番伸びやすくなります。事業所選びの際にも、「ペアトレやペアプロを取り入れているか」「保護者向けの学習機会があるか」は、ぜひ見ていただきたい観点のひとつです。ブロッサム発達パークは、保護者が一人で抱え込まずに学び合えるコミュニティを大切にし、ご家庭と一緒にお子さんの育ちを支える存在でありたいと考えています。

参照:こども家庭庁「ペアレント・プログラム及びペアレント・トレーニング普及事業」/厚生労働省関連資料

お子さまに合った施設を探してみませんか?

かんたんな質問に答えるだけで、お子さまにぴったりの施設が見つかります。